2016-02-01から1ヶ月間の記事一覧

電撃戦

今日のおすすめ本。2016年2月29日はこちらです。 『ベルリン・ゲーム』レン・デイトン著 田中融二訳 ソ連人はオペラ座と王宮と官庁の建物と最悪のスラムのいくつかを手に入れた。西側諸国は動物園と公園と百貨店とナイトクラブとグリューネバルトの金持ちの…

ある流刑地の話

今日のおすすめ本。2016年2月28日はこちらです。 『夢・アフォリズム・詩』フランツ・カフカ著 吉田仙太郎編訳 平凡社刊 彼は自由にして安全を保障された地上の市民である。というのは彼は一本の鎖につながれていて、この鎖は地上のあらゆる空間を彼の自由に…

天の光はすべて星

今日のおすすめ本。2016年2月27日はこちらです。 『73光年の妖怪』フレドリック・ブラウン著 井上一夫訳 創元推理文庫刊 最初のそれは、ただの震動だった。足音らしい震動、それも割に大きいものの足音だった。ほかの型の震動も地面からではなく空気を伝わっ…

幸福な無名時代

今日のおすすめ本。2016年2月26日はこちらです。 『予告された殺人の記録』G・ガルシア・マルケス著 野谷文昭訳 新潮文庫刊 アンヘラ・ビカリオは四人娘の中で一番の美人だった。彼女は物語に出てくる偉大な女王たちみたいに、首にへその緒を巻きつけて生れ…

リリアンと悪党ども

今日のおすすめ本。2016年2月24日はこちらです。 『俺たちには今日がある』トニー・ケンリック著 上田公子訳 角川文庫刊 人間の心はおそらく世界で最も適応性に富むものだろう。悪いニュースを与えられると、たとえそれが最悪中の最悪のニュースであっても、…

人はなぜ戦争をするのか

今日のおすすめ本。2016年2月23日はこちらです。 『世界の名著49 フロイト 精神分析学入門』ジグムント・フロイト著 懸田克躬訳 中央公論社刊 みなさん!夢を理解するさまたげとなっている夢の歪みは、無意識の許せないと思う願望に対して向けられた検閲活動…

チャイルド44

トリプルツー!!! まだまだ寒い日が続いております。暖かい部屋で読書をお楽しみください。 今日のおすすめ本。2016年2月22日はこちらです。 『偽りの楽園』トム・ロブ・スミス著 田口俊樹訳 新潮文庫刊 わたしは今、頭のおかしな人間のように思われている…

証拠は眠る

今日のおすすめ本。2016年2月21日はこちらです。 『ダーブレイの秘密』オースティン・フリーマン著 中桐雅夫訳 ハヤカワポケットミステリ刊 とある曲り角にきた私は、突然数歩さきに一人の女性のいるのに気づいた。彼女は、とある横道の入口にかがみこんで、…

『Tenacity Blues Diary』オリジナル特典ポスターについて

3月14日発売予定!新保勇樹さん初の写真集『Tenacity Blues Diary 』。 『Tenacity Blues Diary -Fragments of Life with The Birthday-』新保勇樹著 ワニマガジン社刊4630円(税抜) カバー付き上製本A4正寸横型超特厚304ページ3月14日発売予定 http://www.…

シークレット・オブ・ベッドルーム

誠に勝手ながら19日(金)は店休日とさせていただきます。ご迷惑をお掛けいたしまして申し訳ありません。何卒よろしくお願いいたします。 今日のおすすめ本。2016年2月17日はこちらです。 『エクスタシー』アーヴィン・ウェルシュ著 池田真紀子訳 青山出版社刊…

ドローへの愛

今日のおすすめ本。2016年2月16日はこちらです。 『あたし、きれい?』ドーリス・デリエ著 西川賢一訳 集英社刊 「ぼくはスパゲッティ・ミートボールにコーラ」と言ってデーヴがメニューを返した。女はうなずき、ウンナのほうをじれったそうに見た。ウンナは…

純然たる幸福

今日のおすすめ本。2016年2月15日はこちらです。 『青空』ジョルジュ・バタイユ著 天沢退二郎訳 晶文社刊 ラザールに会う回数は少くなった。 ぼくの生活はだんだんゆがんでいった。あちこちでアルコールを飲み、きまった当てもなしに歩きまわったあげく、タ…

『Tenacity Blues Diary』ご予約について

思えば2016年はこのニュースで幕を開けました。 『ROLLIN' BABY IT'S ALRIGHT』の衝撃から早5年。どれだけこの日を待ちわびたことか。 我らが新保勇樹さん、初の写真集発売です!! 『Tenacity Blues Diary -Fragments of Life with The Birthday-』新保勇樹…

ふたりのロッテ

今日のおすすめ本。2016年2月13日はこちらです。 『飛ぶ教室』エーリッヒ・ケストナー著 山口四郎訳 講談社文庫刊 ゼバスチアンは、山林官通り十七番地、四階の、エーガーランドの家のベルを鳴らしました。女の人がドアをあけ、ふきげんそうに、彼の顔を見ま…

幸福は永遠に女だけのものだ

今日のおすすめ本。2016年2月12日はこちらです。 『女のエピソード』澁澤龍彦著 河出文庫刊 フランス十八世紀のロココ時代が、ちょうど彼女の生きていた時代であった。ロココ趣味といえば、繊細で優雅で洗練された、享楽的な貴族文化の極地である。ごてごて…

やさしい雲

今日のおすすめ本。2016年2月11日はこちらです。 『一年ののち』フランソワーズ・サガン著 朝吹登水子訳 新潮文庫刊 ジョゼは、トゥルノン街のマリグラス家にお茶を飲みに行った。ジャックがそこへ彼女を迎えにくる予定になっていた。マリグラス家でジョゼが…

女医スコーフィールドの診断

今日のおすすめ本。2016年2月10日はこちらです。 『復讐法廷』ヘンリー・デンカー著 中野圭二訳 文春文庫 ライカーズ島拘置所の狭い面会室のドアを開けたベンは、強烈なたばこの臭いに思わずたじろいだ。つんと鼻をつく煙がそこにとぐろを巻いて居すわってい…

幻覚のメロディ

二月九日肉の日! う〜ん、焼肉食べたい。 今日のおすすめ本。2016年2月9日はこちらです。 『人間みな病気』筒井康隆選 日本ペンクラブ編 福武文庫刊 時計を見ると彼これ一時である。村役場の引けるのは三時か四時か知らぬが、どうしても今日中に手続きを済…

扉のない部屋

今日のおすすめ本。2016年2月8日はこちらです。 『戯れる死者』 スティーヴン・ギャラガー著 高橋健次訳 角川ホラー文庫刊 「おい、ちょっと」とニックが言った。「ちょっと待てよ」「今夜はすでにもう、自分の言い分を一回通したじゃないか」とジョニーが言…

真の刑事

今日のおすすめ本。2016年2月7日はこちらです。 『黙秘権』チャールズ・ブラント著 土屋政雄訳 新潮文庫刊「驚いたぜ、昔のまんまじゃねえか」ロッコはそういって、五フィート十インチのおれを両腕で強く抱きしめた。クリップオン・ホルスターに差し込んだ三…

虎よ、虎よ! 

今日のおすすめ本。2016年2月6日はこちらです。 『分解された男』アルフレッド・バスター著 沼沢洽治訳 創元推理文庫刊 「おたがい、あまり信用が置けんな?」「なにを言うかい!」ライクはきっぱりと言いはなつ。「小娘のおままごとをやってるんじゃないか…

レンブラントの帽子

今日のおすすめ本。2016年2月5日はこちらです。 『魔法のたる』バーナード・マラマッド著 繁尾久訳 角川文庫刊 ある日暮れどきであったが、静かな水面があまりに見事な色どりをしていたので、さすがに無気力な彼もはいざなわれて、ボートを借り出し、もっと…

愛は遠い明日

誠に勝手ながら、3日(水)は店休日とさせていただきます。ご迷惑をお掛けいたしまして申し訳ありません。何卒よろしくお願いいたします。 今日のおすすめ本。2016年2月2日はこちらです。 『赤いワインに涙が・・・』フランソワーズ・サガン著 朝吹登水子訳 新…

さすらいのジェニー

フェブラリー! お気にいりのコートを着て出かけましょう。くれぐれも風邪にはご注意を。 今日のおすすめ本。2016年2月1日はこちらです。 『ザ・ロンリー』ポール・ギャリコ著 矢川澄子、前沢浩子訳 新潮文庫刊 将校のクラブで開かれた土曜の晩のダンスパー…