2014-09-01から1ヶ月間の記事一覧

透明怪人

今日のおすすめ本。2014年9月29日はこちらです。 『怪奇四十面相』江戸川乱歩著 ポプラ社刊 『わたしは明智小五郎にまけた。しかし、これでかぶとをぬいでしまったわけではない。ちかく再挙をはかることはもちろんだ。奇術師のわたしには、どんなあつい扉も…

太陽の木の枝

今日のおすすめ本。2014年9月28日はこちらです。 『きりの国の王女』フィツォフスキ再話 内田莉莎子訳 堀内誠一画 「わかっていますぞ、あんたがたは金持になりたい。だがどうやったら金が手にはいるかわからない。いいちえをかしましょう。あんたがたに、た…

看板の世界

秋分の日。すなわち彼岸の中日。 休日にふさわしい快晴のお天気。抜けるような青空とはまさにこのこと。実によい心持ちでありました。 しかしですよ。考えてもみてください。 これからどんどんどんどん陽が短くなって、これからどんどんどんどん寒くなる。 …

胡桃の中の世界

今日のおすすめ本。2014年9月21日はこちらです。 『西洋学事始』樺山紘一著 中公文庫刊 ヨーロッパに古くからある博物館に関心のあるものであれば、だれもその収蔵物の膨大さにおどろいていることであろう。名高い発掘物や名画をもたない博物館でも、古書籍…

幻夢の時計

今日のおすすめ本。2014年9月20日はこちらです。 『地を穿つ魔』ブライアン・ラムレイ著 夏来健次訳 創元推理文庫 伯父は不意にカッと大きく目を見開くと、すごい勢いで振り返った。「大地が割れようとしている!やつらの大群のせいで・・・・・・ああ、坑に…

肉体の悪魔

今日のおすすめ本。2014年9月17日はこちらです。 『ドルジェル伯の舞踏会』ラディゲ著 生島遼一訳 新潮文庫刊 彼自身がそこまで降ってゆけないような深いところで、愛が彼の中にどかっと根をおろしてしまっていた。フランソワ・ド・セリューズは、他の多くの…

京都てくてくはんなり散歩

連休ど真ん中。空がずいぶんと高くなってきましたね。実にさわやかであります。 こんな日はどこかに出かけてみたいものですなあ。 というわけで。今日のおすすめ本。2014年9月14日はこちらです。 『京都アート&カルチャーMAP』京阪神エルマガジン社刊 本書…

赤い手帖

「その鞣しがいいね」と君が言ったから九月十三日は革ジャン記念日 すっかり秋めいてまいりました。今も店内を気持ちのよい風が通り抜けております。この三連休は天候にも恵まれるようですね。どうぞ愉快な休日をお過ごしくださいませ。 今日のおすすめ本。2…

神さまがくれた漢字たち

今日のおすすめ本。2014年9月10日はこちらです。 『漢字』白川静著 岩波新書 ことばの終りの時代に、神話があった。そして神話は、古代の文字の形象のうちにも、そのおもかげをとどめた。そのころ、自然神々のものであり、精霊のすみかであった。草木すら言…

入江のほとり

今日のおすすめ本。2014年9月8日はこちらです。 『マンスフィールド短編集』マンスフィールド著 安藤一郎訳 給仕女は、チョコレートと紅茶をもってまた来た。大きな、泡立っている碗を二人の前におき、ぼくの透明なコップをテーブルごしに押してよこした。ヘ…

蜘蛛の巣の家

今日のおすすめ本。2014年9月6日はこちらです。 『ギッシング短編集』ギッシング著 小池滋編訳 岩波文庫刊 「うるさいわねえ、ルー!なんて、おしゃべりなんでしょ!」 それに対する答えとして、ピン・クッションが苦情申立人の顔に飛んで来た。リズには当た…

死人を起す

今日のおすすめ本。2014年9月2日はこちらです。 『蝋人形館の殺人』ディクスン・カー著 妹尾アキ夫訳 ハヤカワポケットミステリ刊 静けさそのものが私を戦慄させた。そこにあるのは妙に湿っぽい着物と髪の匂いだつた。着物と髪の匂いというのは可笑しいが、…

惜みなく愛は奪う

九月。雨。 どうしたってこの唄を想起せずにはおられますまい。 九月の雨は冷たくて、優しいそうな。今月も気持ちいいことがいっぱいな月になりますように。 今日のおすすめ本。2014年9月1日はこちらです。 『松田優作 炎 静かに』山口猛著 立風書房刊 座っ…