蔵の中

みなさんもミステリの話はお好きでしょ。

というわけでまたまた今日も続きます。


映画秘宝』 2012年2月号 洋泉社


今月号の特集はミステリ映画です。


一昨日も少し書きましたが、

「ミステリ」とは実に広義な言葉。


というわけで本特集でもさまざまな切り口で、

ミステリ映画が紹介されています。


例えば、

「館ものミステリ映画」

「美しき見立て殺人映画」

「俺が愛したハードボイルドミステリ」

「愛しきバカミス映画ベスト3」

「ビックリオチ!」

「どのホームズが好き?」

てな具合。


「ミステリ大好き監督たち!!」という頁では、

アルフレッド・ヒッチコック監督、シドニー・ルメット監督、

ブライアン・デ・パルマ監督など錚々たる面々と並んで、

邦画勢からは市川崑監督、野村芳太郎監督、

杉江敏男監督の三人が選出されています。


寡聞にして杉江監督の作品を拝見したことはありませんが、

市川監督と野村監督の作品はテレビ放映も含め、

何度も観返しました。


オールスターキャスト競演の原作ものミステリの海外代表が、

昨日ご紹介した「名探偵ポアロ」シリーズだとするならば、

日本代表は間違いなく市川監督の「金田一耕助」シリーズでしょう。


犬神家の一族』 市川崑監督


『悪魔の手鞠唄』 市川崑監督


ミステリとしての面白さもさることながら、

市川監督が映し出す日本の田舎の情景、

そしてそこに建つ旧家の佇まいの、

荘厳といえる美しさ。


若い方には映画『サマーウォーズ』の陣内家を想像してもらえれば、

おわかりいただけるかと思います。


こういう風景はもう、実写映画では観られないのかもしれません。


犬神家の一族』は後年、市川監督自身の手によって、

リメイクされました。


出来は言わぬが花。


景色ばかりではなく、人間の顔からも、

格調が喪われてしまいましたね。


よりによって、あの役に家政婦はないでしょう。

役者としての品が違うのですから、

どうしようもありません。


ここはどうかひとつオリジナル版をどうぞ。


そこのお姉さん、

お正月休みにお雑煮を食べながら、

観るにはピッタリの作品ですよ。


ぜひご賞味下さい。