復活!!!
今日のおすすめ本。
2017年9月18日はこちらです。
『歴史と運命』
おれはいったいどういうわけがあって現に存在してい、またどういう
わけあいのために現に存在しているのだろう、という疑問。
こういう疑問が、二六時中とは義理にも申せぬが、仕事しようと思いきめたり
したときに、必ず(といっていいだろう)頭のどこかから湧いて出て来て、
ペンをとっつかまえて動きのとれないような工合にしてしまう。だから、
仕事をする、はじめるためには、薪を割るなり、畑をするなり、あるいは
散歩に出るなりして、前述の疑問の奴をなんとかあやすなりいなすなりして、
そいつをしばらくどこかの片隅へ押し込めてかかるという仕様になる。
つまり、厄介払いをしてかからぬというと仕事にならぬのである。
従って、その仕事と称するものは、どうかすると、(いや、どうかするとではない、
まるまる、といわねばならぬだろう) −存在理由とはなるべくはなれた、
濁り水の上澄み程度のものをつづりあわせて行くということになる。
しかも、そんな工合の仕事では、いつまで、いくらそれをつみかさねても、
かくてはならじという焦燥感を消すことは出来ない。
しかし厄介払いとは言うものの、こういう疑問そのものが仕事の移動力に
なっていることは、これまた疑いがなく、厄介払いの成功不成功には
かかわらない・・・。
(「存在の基軸」本文より)
こちらは初版本で現在絶版となっております。
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