翳ある墓標

寒い。

寒すぎます。


昨日の晩は雪まで降っちゃったりなんかして。



どうか早く暖かくなりますように。


今日のおすすめ本。

2015年3月11日はこちらです。


『死びとの座』

鮎川哲也著 新潮文庫


 その夜、鬼貫という変わった姓のその主任警部は、本部をでて帰途についた

電車の中でも、国分寺の自宅に帰って風呂にはいっているときでも、高田謙介が

なぜ「りさいたる」を持ち去ったかということを考えつづけていた。

 彼は甘味をおさえたココアをつくり、生クリームをたっぷりと入れて、

ソファに坐った。

 考えないようによっては、隠したと思ったのは疑ぐりぶかい刑事の勘ぐりであって、

高田は単に汚れた雑誌を片づけたに過ぎないのかもしれない。だが、彼が馬場吾策の

アリバイの唯一の証人であるとなると、疑問点は徹底的に疑ってかからなくては

ならなかった。それは勘ぐりなどといったものではなく、刑事としてなすべき

任務であった。鬼貫はだから依然として、高田が示した行動にこだわりつづけていた。

(本文より)


こちらは初版本で現在絶版となっております。

信販売もさせていただきますので、

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日々のおすすめ本から、

貴方のお気にいりの一冊が見つかりますように。