東のエデン

誠に勝手ながら29日(水)は店休日とさせていただきます。

ご迷惑をお掛けいたしまして申し訳ありません。

何卒よろしくお願いいたします。


今日のおすすめ本。

2014年10月28日はこちらです。

『江戸へようこそ』

杉浦日向子著 ちくま文庫


 江戸が都市として、ゆるぎないものになった江戸以降中期には、江戸市民の意識に

「なにものかにとらえられることから逃れる」という精神が感じられます。

 それは常に反対感情を両立させている、ごく近代的都市市民的な価値観であり、

そういうところに生まれたのが「粋」のように思います。(中略)

 聖と俗、善と悪、ハレとケ、本音と建前、実と虚、それらみんなを抱え込み、

指先のヤジロベエのような危ういバランスを保持している、接近と回避の

繰り返しの永久運動により新鮮でありつづけようとする都市、それが江戸の姿のように

思います。

「江戸っ子の楽天」と一口に言いますが、その浮世感(人生観)には、

街が豊かになる後期にいくにつれて、ものを飽くなく求めていくという欲望から

解放されて、「思うこと叶わぬばこそ浮世とは」、こういう言い方をして、

思うままにならないからこそ人生なんだという肯定的なとらえ方をしています。

その辺に、単純でおおらかな楽天ではなくて、突き抜けたあり方、あっけらかんとした

絶望を感じます。絶望というと、望みを絶たれた真っ暗で閉じた世界のような

イメージが強いのですが、この場合は、あらゆるものをふっ切ることによって、

妙に晴れ晴れとした明るい地平へ出るという、積極的な絶望です。

(「真があって運のつき」本文より)


秋の夜長。

遥か江戸に想いを馳せてみられてはいかがでしょう。


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日々の“おすすめ本”から、

貴方のお気にいりの一冊が見つかりますように。