復活!!!
今日のおすすめ本。
2017年12月24日はこちらです。
『殺意』
おびただしい量の血だった − ペイジの体に、その下の床に。
そして、部屋を半ば横断するように、血の跡がのたくり、光っていた。
彼は片手を戸口のほうに突きだして、仰臥していた。胸の上部をつかんでいる
もう一方の手は、真っ赤な爪に似ていた。身にはズボンしかつけていない。
毛むくじゃらの裸の胸には血がべっとりとこびりつき、ひと目だけでは
傷の種類が判別できないほどだったが、ナイフで、それも一度ならず
突き刺されていることは明らかだった。
(中略)
瞬間的に、目がペイパーバックに吸いよせられた。ところどころ
ページが折ってある、すり切れた本だった。どぎつい表紙の絵柄には、
半裸の赤毛の女と、四十五口径のオートマティックをかまえた男が描かれている。
女の髪型と男の服装、それに表紙に刷りこんである二十五セントという値段が、
その本が一九五〇年代初期の産物であることを明瞭に物語っている。
タイトルは、『死者と死にゆく者』、著者はラッセル・ダンサー。
初めて見るタイトルだが、著者には馴染みがあった。ラッセル・ダンサーは、
一九四〇年代から、パルプ・マガジンの売行きがガタ落ちした一九五〇年代の
初頭にかけて、探偵小説や冒険小説を精力的に書き散らしていた作家である。
私が収集した五千冊あまりのパルプ・マガジンのうち、彼の名をその号の
売物として表紙に刷りこんであるものが、少なくとも百冊はあるはずだ。
しかし、そこらの売店には最新刊のペイパーバックが所せましと
並べられているのに、こんな古い本をペイジが持っているというのは、
妙な話ではないか − もっとも、彼がダンサーの熱狂的なファンであるとか、
このジャンルの一般の愛好者というなら、話はわかるが・・・。
(本文より)
こちらは初版本で現在絶版となっております。
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お気にいりの一冊が見つかりますように。
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ごきげんよくお過ごしください。