ニッポン人の西洋料理

今日のおすすめ本。

2015年11月21日はこちらです。 


村上信夫メニュー 帝国ホテルスペシャル』

村上信夫著 小学館文庫刊


  この事件が起こったのは昭和十一(一九三六)年。私は十六歳でした。

その日の東京は三〇年ぶりの大雪で、身体の底まで寒さが伝わってきたのを

いまでもよく覚えております。私はこの日も、いつものように早朝から厨房で

忙しく立ち働いておりましたが、ラジオから突然「決起将校による反乱」を伝える

ニュースが流れたのです。都内を走るすべての都電はストップし、街頭には

警備に当たる兵隊の群れ、戒厳令下、異常な緊張感が漂っていたものでした。

(中略)

 二・二六事件の警備に当たった兵隊さんの拠点が、ちょうど帝国ホテルの裏に

あたるところ。佐倉連隊の約五〇〇名が、ここに二日間駐留することになったのです。

このときの東京は前にも申しましたように、雪の降り積もった、底冷えの激しい

冬の最中。しかし、そのような中で、街の平静を取り戻すために警備を続ける

兵隊さんたちには、食事の施設はおろか、休憩の時間さえない有様だったのですね。

私も、街頭に立っている兵隊さんたちの姿を見て、本当に寒そうだなぁと思った

ものでした。そんな様子を見かねた当時の帝国ホテルのスタッフたちが、

兵隊さんたちのために炊き出しをして少しでも労をねぎらいたい。そう思い至った

至極当然の成り行きだったのです。

 しかし、その炊き出しのメニューに何を選んだらいいかが問題でした。相手は

五〇〇人もの大人数。手早く大量に用意できるものではなりません。しかも

芯まで冷え切ってしまった身体を温め、警備の重労働にも耐え切れるだけの

体力を養うものでなければならない。帝国ホテルのシェフはこうした状況を

一瞬で判断し、この場に応じたメニューを選択しなければならなっかたのです。

 そう、ここで料理人のヒラメキが本領を発揮したのです。温かくて栄養があり、

一度に大量の人数分を用意できるもの。

(本文より)


ここで問題。

料理人がヒラメいたメニューとはなんでしょう?

簡単ですよね。

答えは本書をお読みください。


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