復活!!!
今日のおすすめ本。
2017年12月15日はこちらです。
『サラリーマン悪徳セミナー』
森村誠一著 角川文庫刊
人間の最大多数の幸福のために、我々は法律というものを作り出し、
それをもって、社会の秩序を保つようになった。だが、人間とは
わがまま勝手なもので、みずからがその平和な生活の担保として
作り上げた法律を、時には窮屈なうっとうしいものに感じ、
反抗したくなるのである。いかに知識と教養にみがき上げられた
人物であっても、心の底には秩序もなく法律もない、
本能のおもむくままに行動できる原始の社会へのあこがれがある。
そのくせ、自ら秩序に反抗するだけの勇気も持ち合わせていない。
普通の常識人ならば、秩序に反抗したその瞬間には、本能的欲望を
満たすことはあっても、その結果における損失のほうが大きいと
よく承知しているからである。しかし、結果に損失がないと
最初からわかっていれば、現代人の平和的仮面はもっと
かなぐり捨てられるであろう。
ここに − 完全犯罪 − という甘美な行為が登場することになる。
この行為の持つ甘美なひびき、秩序への反逆、数多くの制約を持った
完全な型、これらはすべての人間の憧憬であろう。法律により
(最大多数の常識の積み重なりにより)禁止されている行為を平然と
行ない、しかもそれが法律にふれない。それも、偶然とか、幸運に
よらしめるのではなく、電子計算機にかけたような正確な計算によって、
これほどの痛快事があろうか。その計画性、あえて秩序に反逆する不敵さ、
犯罪を行ないながら、有罪の証拠を何一つ残さぬスマートさ、また、
さらには犯罪を行ないながら、犯罪があったのかどうかということすら
知らぬふてぶてしさ、完璧さ、細心さと知恵に裏付けられたトリックの
数々と鉄壁のアリバイ工作。それらは我々すべてが、我々の日常生活に
応用できるのではあるまいか?
(「完全犯罪応用の原則」本文より)
こちらは初版本で現在絶版となっております。
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お気にいりの一冊が見つかりますように。
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