蟻の時代

今日のおすすめ本。

2016年1月16日はこちらです。


『蟻』

ベルナール・ウエルベル著 小中陽太郎、森山隆訳 ジャンニコミュニケーションズ刊


 何者か、巨大なものが、ドームの中に入りこみ、壁を壊して、小枝の間から

すべりこんでくる。細くて長いピンク色のものが、交差点のまん中に

進入してきた。それは空気をかきまわすようにして、とんでもないスピードで

地面すれすれのところをはいまわり、できるだけ多くの住民をなぎ倒そうとした。

その先にかみつこうとして、兵隊アリが飛びついたので、先端が大きな

黒い房のように見える。

 充分たくさんのアリを乗せた舌のようなものは、上の方に素早く消える。

そして、アリの体臭をのどの下に落としていく。ふたたび、いっそう貪欲に

動作はくりかえされる。第二の警告が発せられる。働きアリは、お腹のいちばん

先端の部分で地面をたたきだす。それによって、悲劇に気がついていない

下の階の兵隊アリを呼び起こす。原始的な太古の音が年中に響く。まるで、

都市という組織が荒い息をしているようだ。

 タンタンタンタン。

 それに対して、侵入者は、さらに深く入りこむためにドームの上をたたく。

アリたちは皆、壁にぴたっとくっつき、一方侵入者の下は回廊をさぐっている。

まるでコントロールのきかないアカヘビから逃れようとしているようである。

その舌のようなものは、充分獲物をとれなかったと思うと、より長く伸び、

それから、くちばしと巨大な頭が続く。

“ミドリキツツキ”だった!それこそ春の恐怖である。虫を食べるくいしん坊の

その鳥は、アリの巣の屋根に穴を掘り、六十センチメートルもの深さまで

侵入してアリを食いちらかすのだ。

(本文より)


単行本は現在絶版となっております。

こちらは上下巻セットで販売させていただきます。

信販売もさせていただきますので、

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日々のおすすめ本から、

貴方のお気にいりの一冊が見つかりますように。



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