箱庭図書館

誠に勝手ながら23日(月)は店休日とさせていただきます。

ご迷惑をお掛けいたしまして申し訳ありません。

何卒よろしくお願いいたします。


春分の日もつつがなく終了。

季節はいよいよ春に突入いたしました。

なんとなくいいことがありそうな。

そんな気がしてなりません。


今日のおすすめ本。

2015年3月22日はこちらです。


『銃とチョコレート』

乙一著 平田秀一絵 講談社ミステリーランド


 地図はひろげると聖書とおなじおおきさだった。おりたたまれていたせいで

たてよこにおりめがついている。地図にはこまかいあながいくつかあいており、

虫がくったのだろうとかんがえた。どこかの町の一角をえがいたものらしいが、

町名はしるされていないので、どこの町なのかわからない。どちらが北なのかという

記号さえ見あたらない。印刷物ではなく、ペンとインクによる手書きだった。

だれかが特別にえがいた世界に一枚だけの地図なのだ。

 地図にえがかれた町は、道が左右につらないている。川が左上から右下に

むかってカーブしながらのびている。地図の上の部分が森になっており、

川の上流につり橋がえがかれている。つり橋のすぐ上にもんだいの印があった。

男性の横顔を円でかこんだ印である。ぬすまれた『英雄の金貨』にきざまれた

横顔だ。このマークさえなければただの地形図だった。それ以外にあやしい記号は

えがかれていない。この印の場所にあるのだろう?ぼくはそうぞうした。岩肌に

くりぬかれたトンネルと、地下におりるはしご。その先の部屋にたながあり、

『英雄の金貨』がならべられている。ほかにも『白銀のブーツ』や

『いつくしみの聖杯』、『わるふざけ王冠』などぬすまれたものがかざられている。

そうだ、ここは怪盗のかくれ家なのだ。

(本文より)


「かつて子どもだったあなたと少年少女のための──」でおなじみ、

講談社ミステリーランドシリーズのなかの一冊。

函入りの洒落た装幀で、ネコまっしぐら。

シリーズ全巻を棚に揃えたくなることうけあいです。



こちらは初版本でミステリーランド版は現在絶版となっております。

信販売もさせていただきますので、

お気軽にお問い合わせくださいませ。

69fabulous@gmail.com


日々のおすすめ本から、

貴方のお気にいりの一冊が見つかりますように。