やし酒飲み

今日のおすすめ本。

2015年10月5日はこちらです。


『甲羅男にカブト虫女』

エイモス・チュツオーラ著 鴻巣友季子


「運よ、わたしにこい!」

 アジャイイは、にんまりしていった。

「よしよし、これでおまえも、じきに金持ちだ。わたしの神様はけっして嘘は

つかぬからな。金をもっていれば、世間はその人間を『金持ちのだんな!』と呼ぶ。

そういうものだ」

 ここで、まじない医とアジャイイはふたりして笑いながら、叫んだ。

「金持ちのだんな!」

 とはいうものの、家までの道々、アジャイイは小首をひねって考えていた。

「死んだおやじに牡羊を九頭捧げれば、貧乏がとまる。まじない医はそういった。

ぬぬぬ。なら、おれは永遠に、おやじにもらった貧乏と縁切りできないぞ。

だって、そうだろう、おれにはちんけなオンドリ一羽買う金さえないんだ。

牡羊を九頭も、どうして買えばいい?」

(「村のまじない医」本文より)


「なら、もう、とっとと失せろ」

 一つ頭のゴブリンは、割れんばかりの大声でいう。

「おれの親分たち、二つ頭、三つ頭、四つ頭、五つ頭、六つ頭、七つ頭の

ゴブリンに見つけられてみろ、まちがいなくさらわれてしまうぞ。

泣きづらかかないうちに、帰れ!」

 そういうと、一つ頭の鬼は集まりにむかっていった。

 とはいえ、アカンケ、とうきびをみんな挽いてしまわないことには帰るに

帰れない。

 じきに、またゴブリンがぞろぞろやってきた。

 二つ、三つ、四つ、五つ、六つ、七つ頭がずらり、七つ頭がかしらである。

アカンケの前にくるや、七つ頭は子分ともども立ちどまり、むしゃくしゃして

どなりつけた。

「よりにもよって今夜、ここに粉挽きにくるとは肝のふとい。なにものだ?

人間、それとも、べつなものか?」

(「アカンケとやっかみ質屋」本文より)


表紙の絵は作者のチュツオーラと同じナイジェリアのアーティスト、

トゥインズ・セブン・セブンの手によるもの。

ミュージシャンとしても活躍されていて、来日公演もされたそうです。


こちらは初版本で現在絶版となっております。

信販売もさせていただきますので、

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日々のおすすめ本から、

貴方のお気にいりの一冊が見つかりますように。




The Birthday NEW ALBUM『BLOOD AND LOVE CIRCUS』。


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