今日のおすすめ本。
2015年5月22日はこちらです。
『ぼくのプレミア・ライフ』
ニック・ホーンビィ著 森田義信訳
どうしてぼくはあんなに真剣な顔をしていたのだろう。学校でも家でも、
ほかの場所ならどこでもぼくはただの子供だった。グラマー・スクールの
最上級生になるまで、一度笑いの発作が起きるととまらなかったほどだ。
(中略)
しかしアーセナルを見ているときのぼくには、二十代になるまで、笑いを
浮かべる余裕などなかった。
(中略)
とりつかれてしまうということに、笑いの要素はないーそれが単純な真実だ。
何かにとりつかれた人は笑わない。しかし同時に、ちょっと複雑な真実もある。
思うにぼくは幸福な少年ではなかった。騒々しくてやかましい環境のなか、憂鬱な
十三歳でいるということはつまり、鬱々とした気分のはけ口がないということだ。
まわりはいつだって騒々しかった。常に人から笑わせられるような状態で、
みじめさを表現することなんてできるだろうか?
(中略)
ぼくが何より必要としていたのは、行き場のない憂鬱感が解放される場所であり、
気を揉み、暗い気持ちになりながら過ごせる時間だった。ぼくの心には
ブルースがあった。我がチームを見ているときは、そんなブルースを解き放ち、
ひと息つかせてやることができた。
(本文より)
コリン・ファース主演で映画化もされました。
脚本はニック・ホーンビィ自ら執筆しております。
こちらは初版本で現在絶版となっております。
通信販売もさせていただきますので、
お気軽にお問い合わせください。
69fabulous@gmail.com
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