スキャナーに生きがいはない

復活!!!

今日のおすすめ本。

2017年12月7日はこちらです。



ノーストリリア

コードウェイナー・スミス著 浅倉久志訳 ハヤカワ文庫刊


 空が口笛を鳴らし、風が波を打ちすえ、黒いものが

弾丸のようなスピードでそばをかすめていった。地上すれすれに

飛び去っていくそれを、ロッドはようやく見てとった。

 くるった雀だ。

 左腕が濡れていた。

 ノーストリリアの平原にはめったに雨が降らないので、

なぜ体が濡れたのかよくわからない。ちらと腕に目をやった。

 血だ。自分の血だ。

 殺人鳥のくちばしは狙いがはずれたが、かみそりのような

翼の羽毛がかすっていったのだ。突然変異で武器に変わった羽毛。

大きな羽毛の中の羽軸と羽板がとてつもなく強化され、

特に翼の先端では刃物のように鋭い小羽軸が発達している。

鳥の切りつけかたがあまりにもすばやかったため、痛みも感じず、

気がつかなかったのだ。

ノーストリリア人にふさわしく、まずロッドの頭にうかんだのは

応急手当てのことだった。出血はそれほどひどくない。

まず腕を縛るべきか、それとも、つぎの急降下攻撃にそなえて、

どこかへ隠れるべきか?

 その質問には、むこうが答を出してくれた。

 不気味な口笛に似た音がまたひびいた。

(本文より)


こちらは初版本となっております。

信販売もさせていただきますので、

お気軽にお問い合わせください。


69fabulous@gmail.com


日々のおすすめ本から、

お気にいりの一冊が見つかりますように。

今日も明日も明後日も。

ごきげんよくお過ごしください。