暗くて静かでロックな娘

復活!!!

今日のおすすめ本。

2017年12月6日はこちらです。


ミサイルマン

平山夢明著 光文社文庫


 痛みは感じなかった。それよりも俺は血を吸われている間、

得も言われぬ快感に細胞のひとつひとつを洗われていた。

それは初め何の前触れもなく突然にやっていた。俺はブルーが

息も荒く、頸に齧りついている間、手持ち無沙汰の手を

彼女の尻に回し、その逆ハート形の丸みと窪みに指を這わせていた。

 いきなりドンッと毛穴がドン開きになった。

 誰かが悲鳴を上げていた。

 俺の声だった。

 座っている椅子の感覚が消え、俺は音速で墜落していた。

しかも重力のひと筋ひと筋が俺の肉と皮と神経の間を

すっすっと掠めていく。その度に脊髄もブギを踊る絶頂感が

爪先から頭のてっぺんまで駆け巡る。俺は快楽が駆け巡る

サーキット場のようになっていた。

 目を開けるとブルーが上半身裸で俺を見下ろしていた。

「もうできないぜ・・・」

 俺は全身が甘ったるく、微弱電流が走っているかのように

皮膚が敏感になっていた。

 それ以来、チューブは不要になった。

 掛け値なしに俺たちはうまくいっていた。

 神に誓って、それは言える。

 あのデブが来るまでは・・・。

(「Necksucker Blues」本文より)


いま日本でいちばん面白い小説を書く作家。

ハムスターおじさんこと、平山夢明さん。

こんな方です。


こちらは初版本となっております。

信販売もさせていただきますので、

お気軽にお問い合わせください。


69fabulous@gmail.com


日々のおすすめ本から、

お気にいりの一冊が見つかりますように。

今日も明日も明後日も。

ごきげんよくお過ごしください。