ビースト

復活!!!

今日のおすすめ本。

2017年10月6日はこちらです。


『飲んだくれ』

ピーター・ベンチリー著 金子宣子訳 光文社文庫


 これまでに考える時間が四時間ほどあったので、ブレストンは自分の

置かれた状況を整理しておいた。まず、妻と娘と上司は、おれが酒にからむ

問題をかかえていると思っている。事実だけ取り上げれば、たしかに問題も

あるだろう。だが、言わせてもらえば、大部分は観点の相違によるものだ。

だいたいあの三人は、誰一人として酒を飲まない。まあ、たまにはワインの

一杯も飲みはするが、あんなものは酒ではない。

(中略)

 ところで、アル中とは正確にはなんだろう?賭けてもいいが、もし百人を

ひと部屋に集めて質問したとしたら、同じ定義に達する者は三人と出ないはずだ。

そういえば、こんな逸話もある。リンカーンは、北軍のグラント将軍がアル中と

聞いたとき、連戦連勝のグラントのエネルギー源が酒であるなら、ぜひともその

銘柄がしりたい、ほかのなまくら将軍どもに教えてやりたいから、と言ったそうだ。

チャーチル首相にしても、毎朝気つけがわりに飲むブランデーを、結局は終日

飲みつづけたというではないか。そもそも、典型的な飲んだくれのイメージは、

戸口で眠りこけ、バッグから安酒のサンダーバードを取り出してあおるという図

だろうが、そんな男も、ふだんはバウンドリッジのカウチでまどろみ、

カティサークをたしなんでいるかもしれない。

 すべては解釈の問題だ。

(本文より)


こちらは初版本で現在絶版となっております。

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お気にいりの一冊が見つかりますように。

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