復活!!!
今日のおすすめ本。
2017年10月4日はこちらです。
『文壇』
野坂昭如著 文春文庫刊
ベッドの高みより打ち眺めて判ったことは、現代風俗を描く作家は、
多く純文学系、後、司馬を除いて変りばえしない時代小説。刮目すべきが
推理の分野。三十四年、「E.Q.M.M.』短編小説懸賞募集に入選した
「寒中水泳」の結城、「週刊朝日」、「宝石」共催の懸賞二位の佐野、
探偵作家クラブ賞、江戸川乱歩賞に入賞、佳作に選ばれた連中が轡を並べ、
新人のはずの梶山、水上、戸川昌子が、松本、黒岩、南條と同じ扱い。
家族、男女を扱った、また私小説の分野に新人はいない。
石原、大江、開高は別格。彼らはぼくが民法業界使い走りの頃デビュー、
たちまち認めらSれて、開高とは同年生れだが、生れ月でいえば下。他の二人、
二歳、五歳若い、初期の作品は読んだが、近作を眼にしていない。石原について、
自分の嫉妬心を認めつつ読まず嫌い。大江は「死者の奢り」から「飼育」まで、
以後、題名のうまさにのみ感心。開高は気になった。大阪での同人誌
「えんぴつ」で一緒だったという西尾忠久が、三洋電機宣伝課長、三十四年、
そのTVCMをひねり出す会合で、開高の才能をよく聞かされていた。
(本文より)
こちらは初版本で現在絶版となっております。
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