復活!!!
今日のおすすめ本。
2017年9月10日はこちらです。
『アメリカ合州国』
ハーレムの町は、外観を写真で見る限り、けっこう立派に見える。
とくに日本では、コンクリートやレンガの建築なら何でも木造よりは
立派だろうと考えがちだ。しかし、この種の建築がスラム化すると、
木造よりも手におえないものである。ハーレムの町の汚さは、
中にはいって見れば一見してわかる。エスキモーの「冬の家」の中と
大差がない。ベッドの敷布だけが、周囲と不釣り合いに清潔だ。
同宿者たちは、もちろん黒人ばかりである。真夏の太陽が
スラム化したビルを照らすとき、室内は絶えがたい暑さとなって、
すべての人々を外へ追い出してしまう。
私がここに泊まることを知って、ある友人が同じ勤め先の友人として
紹介してくれた黒人のブラウン君(十九)は、
「夜眠るときは片目開いているほうがいいよ」
と言った。ここには彼に泊ったことがあるが、騒音がひどいし、
空き巣や泥棒も多いという。
(中略)
夜。九階にある私の部屋の窓から見おろすハーレムは、午前零時になっても
人通りや自動車の音が衰えない。パトカーや消防車が、実にしばしば
サイレンを鳴らして走って行く。窓から見える二、三軒のバーから、
わめき声や歌う声が絶え間なく聞こえてくる。約束していたブラウン君が
現れたので、深夜のハーレムを案内してもらうことにしよう。
「ゴー・ゴー・バーに行こうじゃないか」
(「ハーレム素描」本文より)
こちらは初版本で現在絶版ととなっております。
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日々のおすすめ本から、
お気にいりの一冊が見つかりますように。
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ごきげんよくお過ごしください。