戦いの肖像

今日のおすすめ本。

2014年12月22日はこちらです。


『非情の掟』

大藪春彦著 角川文庫


 その二十二口径のオートマチックは十一連発だ。銃身は受筒に固定されているから

命中率はいい。弾薬サックには、百発近くのホロー・ポイント・カバー・クラッド

──被銅凹頭弾頭──のハイスピード弾が入っていた。

 アメリカン・ルガーから弾倉を抜いてみて、弾倉には三発しか残っていないことを知った

島津は、七発を補弾してから弾倉を銃把の弾倉枠に戻した。

 安全装置を外し、二十五メーターほど離れた岩に狙いをつけてみる。その拳銃は、

銃身先端に消音器をねじこむために照星は少し機関部側に寄せられている。照門は

調整可能のやつがついていた。 

 引金を絞る。小型のサイレンサーだが、消音効果は充分で、せいぜいパカッ・・・

という軽い音にしか聞えない。(中略)

 照門のネジを十円玉で廻しながら、島津は十一発を使って、完全に照準合わせをした。

夕暮で照星が実際よりも低く見えるから、これが晴れているときには、今よりも弾着は

低くなる。だから、昼間で明るいときなら、いま合わせた照準は二十メーターの射程に

ぴったりであろう。

 島津は弾倉に補弾し、薬室は空にしたままで、ズボンの右裾をめくった。脚にその

銃を縛りつける。

(本文より)


こちらは現在絶版となっております。

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