暗殺者の鎮魂

今日のおすすめ本。

2014年10月8日はこちらです。


『暗殺者の正義』

マーク・グリーニー著 伏見威蕃訳


 足音がかなり近づいたところで、ジェントリーは電光石火のごとく動いた。

数ヶ月ぶりの力と力の衝突だった。身を沈め、体をまわし、脇に動くのを、

ひとつの動作でやった。オレンジ色のラガーシャツを着たスキンヘッドの若者の

動きが、ぼやけて見えた。曲がった鉄筋が、四分の三秒前にジェントリーの

背中があったところで空を切る。(中略)

 黒いラガーシャツの若者が、チェーンをがむしゃらにふりまわしていた。

相棒のようすを見るために視線を伏せてはまた、さっと見あげている。

相対している顎髭の男への怒りと恐怖が、おなじくらいの分量、目に宿っていた。

腕を垂らし、目と肩の力を抜いて、ジェントリーは若者に近づいた。

 これこそがジェントリーの本領だった。

 チェーンがうなり、前にのびた。

(本文より)


前回ご紹介した『暗殺者グレイマン』の続編です。

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貴方のお気にいりの一冊が見つかりますように。