復活!!!
今日のおすすめ本。
2017年10月22日はこちらです。
『素粒子』
テントの中に寝そべって、ミシェルは夜明けを待っていた。夜の終わりごろ
猛烈な雷雨が訪れ、ミシェルは自分が少し恐怖を感じているのに気づいて驚いた。
やがて空には穏やかさが戻った。しとしとと雨が降り始めた。彼の顔数十センチの
ところで、雨粒がテントの布地を叩き、鈍い音を立てていたが、雨に濡れる必要は
なかった。突然彼は、自分の全生涯は今のこの瞬間に似たものとなるだろうという
予感に襲われた。人間たちのさまざまなエモーションの中を自分は渡っていき、
ときにはそれに巻きこまれかけるだろう。他の人間たちは幸福か、あるいは
絶望を知るだろう。だがそうした事柄が、自分にとって真に問題となったり、
自分を動じさせたりすることは決してありえない。その晩のあいだじゅう、
アナベルは踊りながら幾度もミシェルのほうに眼差しを投げかけた。ミシェルは
彼女のほうに歩き出したかったが、それができなかった。自分が凍てつくような
水の中に身を沈めつつあるという感覚をありありと感じていた。しかしながら
何もかもは極度に静かだった。彼は自分が世界から数センチ分の虚無で隔てられ、
甲羅かよろいかぶとにくるまれたかのような気がした。
(本文より)
こちらは初版本となっております。
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