母なる地球

復活!!!

今日のおすすめ本。

2017年10月13日はこちらです。


暗黒星雲のかなたに』

アイザック・アシモフ著 沼沢洽治訳 創元推理文庫


 飛行開始後三時間のあいだ、展望室は一般船客には公開されない。

大気圏を離れ、展望室の二枚扉がいよいよ開かれるというときには、

かなり長い行列が待っていた。行列の中には、ご多聞にもれず地上族

(つまり生れて初めて宇宙に出る人々)が一人残らず出そろっている。

さらにかなり宇宙の経験を積んだ旅行者も相当数集まっていた。

 なんといっても宇宙から眺める地球の景観は、旅行者「必見」のものの

一つなのだった。

 展望室は宇宙船の「外」に突き出した水泡になぞらえられよう。

この泡は湾曲した、厚さ二フィートの鋼鉄のように堅牢な透明プラスチックで

できている。さらに大気と塵埃微粒子による摩擦に備えて、外側には

可動式のイリジウム鋼の蓋があるが、これはすでに引っ込められていた。

室内灯は消され、展望台は満員である。柵から乗り出して外を見つめる

人々の顔は、「地光」を浴びてくっきりと浮き出ていた。

 地球が眼下に吊り下がったように見えているのだ。橙、青、白、

色とりどりにつぎはぎした巨大な、輝く気球のようだった。

今見えている半球のほとんど全面が昼間で、陽光を浴びている。

諸大陸が雲の切れ間からのぞき、砂漠が一つ、橙色に、細い

とぎれとぎれの緑の線を混じえて見える。海を青く、水平線は

背後の空間の暗黒と鋭い対照を見せていた。そして周囲の塵を知らぬ

黒い空には一面の星である。

(本文より)


こちらは旧装版で現在絶版となっております。

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