復活!!!
今日のおすすめ本。
2017年9月4日はこちらです。
『 韓国のやきもの 3 李朝』
沈寿官 鄭良謨 文 久光 良城 写真 淡交社刊
李朝の名品には作者の銘はない。その造られた時代や場所も、
物によっては評論家の意見が極端に分かれていて、曖昧模糊として
判然としない。
しかし世界中の人に愛される李朝の壺も、わが国で大名物として
大切にされている茶碗にも、自らの手で造り出した作者があるはずだ。
彼らは南面した日ざしの柔らかい陶房で作陶にふけり、疲れれば濁酒で
喉をうるおし、興に到れば工具で拍子をとって、地唄に一つも歌う。
とらわれることのない生活、無心の世界より生まれた李朝の陶磁は、
誰が造ったなどという問題を超えて、永遠の命を人類の間に
持ちつづけることになるだsろう。
銘があるとか、無いとかいうことはあまり論ずる必要はあるまい。
ただ物を造る人間として、自らの姿勢を振り返る時は、必ず一つの
考え方の基準として、李朝陶工の生き方に思い及ぶべきだと思うし、
またとにかく、両国の関係を論ずる場合、同文同種的意識が先だち、
安易な結論に達しがちな日本人にとってきびしく心すべきことだろう。
(中略)
銘一つにしても、両国の歴史や地質や文化の違いが生まれることを、
はからずも教えてくれたフランスの友に感謝し、永遠の隣人として
運命づけられている日本と韓国の関係は、無銘、有銘の世界から入って、
お互いの文化の相違性を知った。そしてそれを尊敬し合うところに
基本があるのではないかと思われてならないのである。
(「風土と環境」本文より)
こちらは初版本で現在絶版ととなっております。
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