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今日のおすすめ本。

2016年1月26日はこちらです。


『丘の屋敷』

シャーリイ・ジャクスン著 渡辺庸子訳 創元推理文庫


 人は、いやな雰囲気を感じる家を見た時、それがどの部分や輪郭のせいで

不幸にもそんな“顔”に見えてしまうのか、なかなか判別できないものだが、

〈丘の屋敷〉に限って言えば、その偏執的な対称、並列構造と不自然に曲がった

角の部分、空にそびえる屋根の感じが、ここに絶望の場所という表情を

与えていた。いや、それ以上に、こちらを見張るように並んだ人気のない窓と、

その軒先に眉のように張り出しているコーニスがやぶにらみの目を形作って、

まるで〈丘の屋敷〉が深い眠りから覚めたような気味の悪さをかもし出していた。

どんな家でも、ひゃんなことで妙な角度から眺めれば、外装が面白い表情に

見えることはよくあるし、ちょっと変わった小さな煙突や、えくぼのような

屋根裏なんかが、見る者に身近な人間臭さを感じさせたりすることもある。

しかし人を決して寄せつけないような、尊大で敵意の感じられる家には邪悪な

雰囲気しか漂わない。そして目の前のこの屋敷は、みずからの内部に“力”を

呼び込むため、意思を持って建築職人たちを操り、望み通りの“自分自身“を

作り上げてみせたかのように、今は空にむかって傲然と頭を上げ、人間には

与しない表情をしていた。やさしさのかけらもない、中に誰かを住まわせる

気などまるでない、人間にも愛にも希望にも、まったくふさわしくない家。

悪魔祓いの儀式をしても、決して表情の変わらない家—〈丘の屋敷〉は、

いつか破壊されるその日まで、ずっとこのままの姿で存在し続けるに違いない。

(本文より)


以前は『山荘綺談』と『たたり』というタイトルで出版されていた作品。

二度にわたり映画化もされています。


『たたり』 ロバート・ワイズ監督


ホーンティング』 ヤン・デ・ポン監督


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日々のおすすめ本から、

貴方のお気にいりの一冊が見つかりますように。



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