今日のおすすめ本。
2015年2月2日はこちらです。
『英国一家、ますます日本を食べる』
マイケル・ブース著 寺西のぶ子訳 亜紀書房刊
僕は牛をマッサージしたい。
(中略)
実際に牧場に着いたとき、僕がどれほど驚いたか想像してほしい。牧草地には、
角が2本あって黒毛で、鼻に黄色いリングをぶら下げた但馬牛が4頭いて、
ふたりの肥育員の足もとには4リットル入りの焼酎の瓶、ケース入りのビール、
わらを編んだマッサージマットが2枚置かれていた。
(中略)
巨大な焼酎の瓶を口元まで持ち上げ、瓶の口を拭いてからにすべきかどうか
迷いながらも、肥育員の口腔衛生状態を貶めてこの千載一遇のチャンスを
ふいにしてはならないと覚悟し、焼けつくような酒を思いきり口に含んだ。
そして、肺の力を振り絞って空気を吸い、口をすぼめて牛の横腹めがけて
吹きかけようとしたが、液体はだらしなく垂れ落ちてほとんどがシャツの
胸にかかった。肥育員たちは、嬉しそうに笑ってそれを見ていた。
どこかのテレビ局のクルーが、牛の向こう側から姿を現すんじゃないかと
半ば期待したけれど、そんなこともないまま、肥育員がやってみろというふうに
わらの束をくれて、焼酎が牛の粗い黒毛に染み込むように垂直にこするのだと
教えてくれた。
(「牛肉に抱く妄想」本文より)
マイケルが野望を実現させるために訪れた牧場は、
不肖店主が幼少期を過ごした町にある和牛専門店のもの。
その店の名物である寿き焼のお相伴にあずかったことがありますが、
それはもう、天にも昇る美味しさでした。
次はがんばって自腹で食べてみたいものです。
こちらは初版本となっております。
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貴方のお気にいりの一冊が見つかりますように。