三連休の中日。
みなさんいかがお過ごしでしょうか。
海?
山?
はたまたこたつ?
寒さってやつは、どこにいてもしつこく追いかけてきます。
くれぐれも風邪などひかれませんように。
今日のおすすめ本。
2015年1月11日はこちらです。
『原色の想像力』
「皆さん、おはよう。夏休みは楽しかった?はい、じゃあ皆さんに新しい友達を
紹介します。仲良くしてあげてね」
だが、先生の言葉を聞いている生徒は一人もいなかったと思う。あたしを含めて、
クラスの皆の視線は、その「新しいお友達」に釘付けになっていた。
その女生徒は、異様な姿をしていた。
顔立ちは整っていた。漆黒の髪は長く、前髪を眉のところで切り揃えている。
鼻と口を小さく、目は大きい。だがその目には光がなく、淀んだ沼のように濁っていた。
加えて白いというより、青白い肌の色。まるで病人のようだ。顔色だけでなく、
制服からのぞく腕や足も、赤味というものがまったくなかった。おまけに、左腕の肘には
包帯が巻きつけてある。おそらく肩からずっと包帯をしているのだろう。制服のブラウスの
肩のところが左側だけ盛り上がっていた。病院から脱走してきました、という感じである。
(中略)
それらの中でも一番印象的なのは、彼女の表情だった。無表情というのか生気がないと
いうのか、嬉しいでもなく緊張しているでもなく、新しい教室に入ってきても何も反応を
示さない。うつろな瞳には、何も映っていないかのようだった。
「気持ちわるーい」
誰かが小声で言った。
(「時計じかけの天使」本文より)
上記した「時計じかけの天使」の他、9編の短編が収録されています。
中には第33回日本SF大賞受賞を授賞した『盤上の夜」も。
どれも新人作家のデビュー作だけあり、才気と創意工夫に満ちた、
とても読み応えのある一冊です。
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