冬の蜃気楼

今日のおすすめ本。

2014年2月15日はこちらです。


『遠くの声を捜して』

山田太一著 新潮社


「ダレ、ナノ?」

なんだと?稲妻の光ったあたりから、声が聞えた。片言だった。遠い声だった。

しかし、恒夫に呼びかけているというように聞えた。囁くような声だった。

そんな馬鹿な話はない。あんな遠くの囁くような声が聞えるわけがない。

 聞えたというのは正確でないかもしれない。感じたのかもしれない。

「ダレ、ナノ?」

どんな声だったかと耳に蘇えらせようとすると、俄にとりとめなく、

どのような声でもあるように思えた。子どもの声、少女の声、女の声。

「ダレ、ナノ?」

(本文より)


こちらは新版の初版本となっております。

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