透明な存在の不透明な悪意

ここのところ映画の話が続きましたので、

久々に本の紹介をさせていただきます。


と申しますのも、すこぶる面白いミステリを読みましたもので。

こちらです。


『メルカトルかく語りき』 麻耶雄嵩著 講談社ノベルス


昨年の5月に刊行されて評判を呼び、

『2012本格ミステリベスト10』というムック本で、

国内篇第2位に選ばれた作品。


「銘」探偵メルカトル鮎シリーズの最新作です。


このメルカトル鮎

出で立ちはいつもシルクハットにタキシード。

彼自身が「名」探偵のパロディのような存在なのですね。


そんな彼が探偵役を務めているくらいですから、

作品そのものも一筋縄ではいきません。


毒にも薬にもならないどころか、はっきりと毒。

それも猛毒です。


メルカトル鮎シリーズを未読の方が、

なんの予備知識もなくこの作品を最初に読んでしまうと、

壁に本を投げつける羽目になるかもしれません。

僕もきっとそうしていたと思います。


ぜひシリーズ第1作『翼ある闇』から、

順番にお読みください。


そうすれば麻耶さんがメルカトルに託した、

真摯なまでの問いに気付かれることでしょう。


その問いとはなにか?

ぜひご自身でお確かめください。