今日のおすすめ本。
2014年6月24日はこちらです。
『トウモロコシ畑の子供たち』
と、だしぬけに、すさまじい轟音が起きて、ハロルドは今しも
落ち込もうとしていた新たなうたた寝から叩き起こされた。
椅子を倒しながらぱっと立ち上がり、不機嫌にあたりを
見廻した。(中略)
それは、目を覆いたくなる光景だった。
あのでぶ男がトラックに積んできた古ぼけた赤いエンジン付きの
芝刈り機が、一人で勝手に動いていた。押している者はいない。
実際の話、芝刈り機から五フィート以内には人影ひとつ見あたらない。
まるで地獄から直行してきた復讐の赤い悪魔のように、芝刈り機は
狂気とも思える速さで、ハロルド・パケット家の哀れな裏庭の草を
刈り倒しながら前進しているのだった。見ているだけで胸が悪く
なりそうだった。狂った機械は狂気そのものの様子で、金切り声を
あげ、咆哮し、油くさい青い煙の屁をした。酸っぱくなったワイン
そっくりの、熟し過ぎた刈り草の匂いが空中に立ちこめた。
それにしても芝刈り機の男は、本当の意味でも変態だった。
(「芝刈り機の男」本文より)
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日々の“おすすめ本”から、
貴方のお気にいりの一冊が見つかりますように。
『捨てがたき人々』
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